就業規則は超重要!人事部・管理職の仕事に役立つ法律知識~労働法①

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こんにちは!HRガーデン~人事部・管理職の仕事に役立つ法律知識~へご訪問いただき、誠にありがとうございます。

人事部、管理職の仕事に必要な法律知識をスキマ時間でバッチリ定着!

人事部員や管理職向けの教材・研修・テキストは、得てしてマネジメントやコーチング、エンゲージメントにモチベーション、タレマネ、コンピテンシーなど、勉強して頭がよくなった気がする土台となる労働法や労務管理の知識がしっかりあるうえでの抽象論にフォーカスしたものが多いです。

といっても地味で小難しい、労働法やら労務管理やらの知識なんて後回しにしたくなってしまいますし、なにより高度化がすすむ人事の仕事において、企業としても知識の学習に多くの時間を割くことは難しいかもしれません。

しかしだからこそ、人事部員として、管理職として、この知識があることによって、周囲にスキルの差をつけることができるともいえます。

このHRガーデンは、単なる知識の垂れ流しではなく、より人事の仕事に役立つ実践的な内容を交えて、労働法や労務管理について、解説していきます。あなたのスキル向上を支援します!!

例えば、労働基準法第109条には、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。」とあります。ある程度大きな会社さんですと、人事システムが整備されています。そこで、紙に印刷しないと保存義務を果たしたことにならないのか?との疑問が湧いてしまいます(※顧客企業からこの質問を受ける機会は、意外と多いです)。答えは、人事システム等から適宜情報を引き出せるのであれば問題なしです(行政通達に書いてあります)。

このように、実際に遭遇する疑問を見越して、ご案内いたします。

第1日 労働基準法の基本理念 

1日目ということで、軽めのところから入っていきます。労務管理の基礎となる労働基準法の中でも、基本理念などの超基礎的な部分です。

労働基準法第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

正直実務上この条文が重要になることはないのですけれども、人事の仕事として、スキルアップや労務管理の質的向上を図るうえで、「まー、一応確認しておきましょう」といった位置付けです。

労働基準法に書いてあることは最低レベルのことであるので、「労基法に違反していないんだから、これでいいだろ!」とは考えないで下さいね、と。例えば、労基法では慶弔休暇を設けてくださいなんて、どこにも書いてありません。しかし、だからといって「なーんだ、法律上の規定がないなら廃止しちゃえ(^―^)」というのはあかんですよ、むしろ労働条件の向上を目指してくださいね、ということです。

そもそも、労働条件を低下させることは、「就業規則の不利益変更」という概念になりまして、会社側の都合で簡単にポンポンと変えることはできないことになっております。この「不利益変更」については、超重要事項となりますので、別の機会にご説明いたします。

ちなみにこの第一条は、基本理念を示しているに過ぎないので、この条文に違反しているか否かといったことが問題になることはありません。

次に第2条です(全条文を解説するわけではありません、たまたまです)。

労働基準法 第2条 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

はい、こちらも1条に続いて理念のようなものです。会社と労働者は対等な立場というのが大前提です。実際は雇って給料を払う側の会社側が強めになりますけれども、労務管理や人事管理においてはこのことを忘れないで下さいね、といったところです。実態として労働者が弱めですので、戒め的な意味合いでの規定と考えてください。

そして、2項に書いてあることが、まあまあ重要なんですけれども、「契約したんだから、それぞれ誠実に義務を果たしなさいね」ということを言っています。労働者はちゃんと仕事を、会社はちゃんと休ませたり賃金を払ったりしなさいよ、と。では、2項に書いてある、「労働協約・就業規則・労働契約」とは何なのでしょうか(流してはいけませんよ)。

後の方から説明します。労働契約。これはそのまま労働者との約束です。吉本興業の契約書が話題になっていますが、一般的なサラリーマンの労働契約においても「口頭」だけで成立します。一応。もちろん大半の企業が書面で雇用契約書を交わしていると思いますがね・・、いやそう思いたいです。月給いくらで、土日が休みで・・といったことが通常は書いてあります。

次に就業規則。いずれまた詳しく説明しますが、10名以上の事業所(法人単位ではないことに注意)であれば、必ず作成し、労働者に周知していなくてはならないものです。ただ、実態として、「見たことがない」という方々も大勢います。簡単に説明すると、働くうえでの規則や、労働条件についての詳細を規定したものです。適切な労務管理を行ううえでは、超超超超!大事なものです。もし、人事の方や管理職の方で、「就業規則が見当たらない」といった環境に置かれているのであれば、まず誰もが閲覧できるような状態にすることを提案しましょう。

意外に労働者も会社も、この就業規則を軽視しがちです。当然書いてあることは守らなくてはならないのですが、ここでよくある勘違いを紹介します。それは、「労働者との合意があれば、就業規則と違う条件で働かせてもいい」というものです。これは半分間違っています。次の条文を見てください。労基法ではありません。労働契約法という民事上のルールを定めた法律です(2つの法律の違いについては、現時点で深追いしなくてもいいです)。

労働契約法 第12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

はい、読んでその通りですね。就業規則以上の労働条件は問題ないですけれども、それ未満の労働条件は問答無用で無効となります。合意の有無は関係ありません。「対等な立場だ」といいつつも、実態として労働者は弱い立場になることが多いですから、無理矢理サインさせられるなんてことがないように、このような規定で保護しています。

イレギュラーな非正規社員、嘱託社員などを雇うときなどに、結構やってしまいがちですが、この「就業規則違反」に気をつけましょう。

最後、労働協約ですが、これは会社と労働組合とで結ぶ協定です。これは就業規則よりも強い効力を持ちます。重要といえば重要ですが、初級編で扱うにはヘビーですので、組合との約束で労働条件が決まることがあるという程度の認識で、まずは問題がないと思います。

本日もお疲れ様でした・・

流浪の社会保険労務士

1983年生まれ。最後の氷河期世代。大企業向け社労士法人で外部専門家として培った知見を活かし、就業規則・人事制度・労務手続フローなど、労務管理をデザインする。社労士法人退職後は、シリーズAの資金調達に成功した急成長中ベンチャーに入社。2年後のIPOを見据えた労務管理体制をゼロから構築した。その後、M&Aに積極的な東証一部上場のIT企業にて、前例にとらわれない労務管理体制の改革や新制度の導入、グループ会社に対する労務管理支援を行う。

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