全員が同じ方向を見ていない時代だからこそ

労働者や部下が思ったように動いてくれない。会社や上司に不信感がある。同僚から有給休暇を取りすぎだと嫌味を言われた。労働をめぐる様々なトラブルは、個の時代が進み、価値観の多様化が進んだにもかかわらず、他人の価値観を受け入れる土壌が培われていないことに原因があります。

労働・社会保険分野について、法律の解説をしているメディアは沢山ありますが、当メディアでは、法律の解説に加えソフト面とも言える人々のマインドにも焦点を当て、深く考察していきます。

正確な法律知識とマインドは両輪だと思います。片方だけでは、建設的な議論ができません。いまだ飲酒運転を「軽い違反」と捉える人がいるように、サービス残業を「どこの会社もやっている軽い違反」と考える人は労使ともに一定割合で存在します。役所は当然指導しますが、発覚するまでは労使関係だけでなく、労働者同士でのいさかいも生じます。指導された後も、それが悪いことであると考えなければ、見かけ上のコンプライアンスにだけ気を配るようになり、法の趣旨を逸脱するような労働者置いてきぼりの制度を考えるかもしれません。また、積極的にサービス残業すべきと考える労働者も一定数存在し、彼らの不満も燻ることになります。

ITを中心とする技術革新が進み、過去の経験則は必ずしも役に立たず、労働に対する価値観の変化にどう対峙していけばよいか、企業は常に難しい舵取りを迫られています。労働者側から見ても、互いの価値観の相違を認め合うことができなかったり、労働法や社会保険制度の正確な知識がないゆえに不安や不満、不公平感を募らせたり、日常的に様々な疑念を抱きながら、生活のために働き続けているのが実情ではないかと思います。

労務問題(労働問題)は、正確な法律知識だけでは解決できません。「労働とは何か?」この哲学的な問いを常に頭に入れながら、情報を発信していきます。価値観の多様化に対応すべく、一般ビジネスパーソン(特にミレニアル世代と呼ばれる20代~30代)へ、仕事のモチベーションや退職を考える時などのインタビューを積極的に行っています。統計資料に現れない、生の声を大事にしています。(ただし、統計を軽視するというわけではありません。客観的なデータは非常に重要です。)

当メディアの情報は、「社会一般」「企業・人事部向け」「一般ビジネスパーソン向け」という3つのカテゴリーに分けられています。とはいえ、人事部ではない方が「企業・人事部向け」の情報を見ることによって広い視野を身につけることも考えられますし、その逆も然りです。どのカテゴリーも「働く」ことにかかわる人の「羅針盤」になることを目指しています。
記事は全て、労働・社会保険分野の専門家である社会保険労務士(社労士)が執筆・監修しています。